CT検査
CTという言葉は一般の皆様でも病院にくればごくごくふつうに聞く言葉だと思います。CTとは”Computed Tomography”の略で、日本語で表現すると”コンピュータ断層撮影”ということになります。
CT装置では、X線を使って体の周りから360°データをとり、コンピュータで計算して体の輪切りの画像を得ています。
輪切りにする厚みは、最小0.625mmと細かい(薄い)画像が得られます。
これをコンピュータにより重ね合わせて、下記縦切り画像や3D画像を作成し診断に貢献させます。
当院では3台の64列CT装置を設置し検査を行っています。CT検査における被ばく低減と画質向上を目的とし、3台ともすべてに逐次近似法を応用した画像再構成法を導入しています。これにより従来と同程度の画像であれば従来のX線量の半分以下での画像化を、従来と同じX線量であればさらに高画質にすることが可能となりました。また、2022年には3次元画像解析システムSYNAPSE VINCENT(富士フィルム社製)を導入し、様々な診療科のニーズに対応しております。
従来法
逐次近似法
当院での最高機種にあたるCTは、人体を透過したX線を検出する部分に新素材を採用し、これにより高精細な画像情報を提供するとともに、患者さんの被ばく低減も実現した装置です。アーチファクトやノイズも軽減され、細かい部分がはっきりと見えることにより内耳周辺の細かい骨の構造や血管情報、心臓では特にステント内腔の評価に優れています。また1つの管球で、2つの管電圧を高速で切り替えることにより、2つのエネルギーでの撮影が可能です。これにより画像コントラストの増強や金属によるアーチファクトの低減、骨、石灰化の分離により血管内狭窄の評価が期待されます。
導入装置
GEヘルスケア・ジャパン社製 Revolution Maxima(第1CT室)2021年更新
GEヘルスケア・ジャパン社製 Discovery CT750HD(第2CT室)
GEヘルスケア・ジャパン社製 LightSpeed VCT VISION(第3CT室)
第1CT室
第2CT室
第3CT室
検査時の注意事項
検査中は担当の診療放射線技師・看護師・医師の注意事項に従ってください。
頭部
●担当技師が決められた手順に従って位置あわせを行います。
●これはいつも同じような画像を撮像し、より診断を行いやすくするためです。あまり頭を動かさないようにしてください。
●造影剤を使用する場合も注射中には頭を動かさないでください。
●頭の回りに金属やプラスチックの物があるとCTの性質上きれいな画像がとれなくなります。検査前には頭の回りの物をはずしていただくようにお願いします。
頚部
●技師が位置をあわせた後は検査終了まで頭の位置を動かさないようにしてください。頭を動かすと首も動くため位置が変わってしまいます。
●検査中に息止めの指示がでます。きれいな画像をとるためですのでご協力をお願いします。
●口を動かしたりつばを飲み込むなど、のどが動くような行動もなるべく控えるようにお願いします。
胸部・腹部
●検査中は両手を頭の上に上げた姿勢になります。これは両手を体の横に置いてしまうときれいな画像がとれなくなるためです。
●息止めの指示がでますが、そのときは毎回同じように息をすって止めるようにしてください。息を吸う量がかわると体内の臓器の位置が変わってしまいます。
●腹部の検査の際には検査前4時間は水・お茶のような水分(牛乳は不可)以外はお食事をとることを控えてください。
●検査をする場所に金属製の物があるときれいな画像がとれなくなります。そのような物がある場合は着替えをお願いする場合があります。(ただしプラスチック製のものは画質にほとんど影響しないためそのままでもかまいません。)
造影剤について
検査目的によっては造影剤を使用する場合があります。
造影剤は静脈注射によって臓器をよく見えるようにする物と、服用していただいて消化管の内部(食べ物の通り道)をよく見えるようにするものがあります。
成分の違いはありますが、CTで使用している物はヨウ素の化合物で通常このヨウ素が臓器とX線の通りやすさが違うことを利用しています。
静脈注射による造影剤は場合によっては副作用を起こすことがあります。造影剤の副作用には、悪心、嘔吐などの軽度なものから、重篤なものでは血圧低下、呼吸抑制が起こる場合がありますが、頻度はごく希です。
以下のような場合は担当医師にご相談ください。
○ ヨードまたはヨード造影剤に過敏症の既往歴のあるかた(以前造影剤で副作用のでた方)
○ 重篤な腎障害のある方
○ 気管支喘息のある方
造影剤を使用する場合は嘔吐によって窒息する可能性を否定できませんので、検査前4時間は水・お茶のような水分以外はお食事をとることを控えてください。(水分を全くとらないよりは、ある程度水分をとって頂いた方が、悪心などの副作用の発生する確率は下がるというデータもあります)
以前に造影剤で副作用がでたことがある方は担当医師・または検査室にお問い合わせください。(造影剤の種類を変えることで副作用がでない場合もあります。)
バリウムやMRIの造影剤とは全く違う物質です。CTで副作用がでたからといってバリウム検査やMRIでの造影検査でも副作用がでるわけではありません。
ペースメーカを装着されている患者さまへ
ペースメーカの種類によっては、ペースメーカ本体にX線を照射すると誤作動をおこす可能性があります。特に除細動器付のペースメーカ(ICD)を装着されている患者さまに関しては、ペースメーカ本体にX線が照射されないよう本体を避けて検査を行います。ペースメーカの種類を把握するにはペースメーカ手帳が必要ですので、CT検査を受ける際にはペースメーカ手帳を持参していただくようお願い致します。