安全かつ高精度の放射線治療を推進することを目的として策定された認定施設規定に基づき、
当院は日本放射線腫瘍学会から「日本放射線腫瘍学会認定施設」として認定されています。
放射線治療は現在、手術・化学療法(抗がん剤)とならぶ、がんの治療法の一つです。
放射線治療は文字通り、体に放射線を照射することにより、がんを治療します。
放射線治療では、がん細胞が正常細胞に比べ放射線に弱いことを利用し、病巣部に放射線を照射することで癌の治療を行います。
当院では、放射線発生装置(リニアック)により作られた放射線を体の外部より照射します。
放射線治療は現在、手術・化学療法(抗がん剤)とならぶ、がんの治療法の一つです。
放射線治療は文字通り、体に放射線を照射することにより、がんを治療します。
放射線治療では、がん細胞が正常細胞に比べ放射線に弱いことを利用し、病巣部に放射線を照射することで癌の治療を行います。
当院では、放射線発生装置(リニアック)により作られた放射線を体の外部より照射します。
* どのような放射線が使用されるか
一般的な放射線治療で使用される放射線にはX線と電子線があります。二つの放射線の違いはX線が非常にエネルギーの高い電磁波(光)であるのに対し、電子線は非常にエネルギーの高い電子の流れであるということです。
また、一般撮影で使用されるX線と放射線治療で使用されるX線の違いはエネルギーです。X線のエネルギーは電圧で表されます。
放射線診断で使用されるX線は高いエネルギーでも100000Vを少し超えるぐらいですが、放射線治療で使用されるX線のエネルギーは1000000V以上のものが使用されます。
* なぜがんを治療することができるか
放射線が生物になんらかの影響をあたえることは皆さんご存知だと思います。
放射線治療ではがん細胞のDNAを破壊し増殖する能力を失わせたり、細胞自体が自然に死滅していく過程(アポトーシスと言います。)を起こしやすくしてがん細胞を死滅させます。
しかし、放射線は周りの正常な細胞にも同じような影響を与えます。しかし、がん細胞と正常細胞とでは放射線による影響を回復する能力に差があります。
がん細胞よりも正常細胞のほうが回復する能力が高いのです。放射線治療を何10回と分けて行う理由はここにあります。
がん細胞が回復していく前に正常な細胞が回復していくので結果的にがん細胞だけを死滅させることができるわけです。
また、治療の際には不必要な部位に放射線が照射されないようにどのように照射していくか細心の注意がはらわれます。
1. 診察
まず、放射線治療担当医師による診察を受けていただきます。
これにより、放射線治療の適否、治療方針の決定がされます。
場合によっては、必要な検査を受けていただく場合もあります。
2. 治療計画
どのように照射するか適切な範囲・方向を決定します。
ほとんどの場合、計画を立てるにあたって治療計画用CT撮影を受けていただきます。
放射線治療は毎回同じ姿勢でおこなうために、身体の一部を固定するための道具を用いることがあります。必要に応じて、CTの撮影に先立ってこの固定具を作成する場合があります。
治療計画用CTは放射線治療を受けていただくときと同じ姿勢で受けていただく必要がありますので、通常の診断用CTより姿勢の決定に時間がかかる場合があります。
CT撮影時にはマジックやシールを用いて、照射の際に使用する目印をつけさせていただきます。
撮影したCT画像をもとに放射線治療担当医師は専用の3次元治療計画装置を用いて、どの範囲にどのように照射するかを決定します。
3. 照射
放射線治療担当放射線技師が治療計画で決定された方法によって決められた量の放射線を照射します。
治療の初回では、まず照射装置に付属の位置照合装置を用いて照射の位置が正しいか、治療計画と比較を行います。
患者さんのポジションが正しい位置にあると判断できたら、照射の際に使用する目印をつけ、照射を行います。
2回目以降は、この目印をもとに照射を行っていきます。
治療を受けられる際の注意
放射線の通り道となる場所の皮膚は放射線の影響で弱くなっていきます。また、治療位置の目印となるマーキングがインクで描かれます。
皮膚に刺激を与えないようにし、石鹸などでこすらないようにしてください。
体力も低下する場合もありますので、規則正しい生活を送り、十分な栄養をとってください。
* 考えられる副作用について
頭部:胸焼け,吐き気,倦怠感,二日酔いのような症状など
頚部(口腔):口内炎,味覚障害,咽頭痛(のどの痛み),(皮膚炎)
胸部・腹部:胸焼け,呼吸苦,胃痛,胃潰瘍,下痢,腹痛,食欲不振
骨盤部:頻尿,排尿痛,残尿感
気になることがございましたら、担当の医師・技師・看護師にご相談ください。
照射装置
当院では、アキュレイ社の「Radixact X9」とバリアンメディカルシステムズ社の「Trilogy」の2台の高精度放射線治療装置が導入されています。
Radixact
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Trilogy
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●強度変調放射線治療(IMRT)
強度変調放射線治療(IMRT)とは、3次元的に複雑な線量分布を作成するためにコンピュータを使用して計算を行い、照射野内の放射線の強度を変化させながら多方向から照射を行う技術です。
腫瘍や正常組織の形、大きさ、場所に応じて、凹凸のある放射線強度を正確に3次元で設定することができます。
当院に導入された装置は2台ともこのIMRTに対応しています。
○当院に導入されているRadixact X9は強度変調放射線治療専用機で従来型の放射線治療用照射装置と比較 しより複雑な線量分布にて照射を行う事が可能となっています。
以下の技術も導入されています。 | |
●動態追尾システム Synchrony® 呼吸などで移動する腫瘍を呼吸追尾カメラと標的検出用のX線装置で把握し、リアルタイムに追跡しながら照射します。 放射線照射範囲を最小限にすることができ、より副作用の少ない安全な治療が可能になります。 肺癌のように腫瘍が動く部分では特に有効とされます。 |
●ヘリカルkVCTイメージング ClearRT
従来のリニアック装置に備わっていたMVCTやCBCT画像と比較し、より鮮明な画像が得ることができるようになりました。このことにより、標的位置の同定、照射位置の修正が容易になり、これまで以上の効果と副作用の軽減が期待できます。
従来の画像
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ClearRTの画像
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〇当院に導入されているTrilogyは汎用型放射線治療照射装置です。
以下の技術も導入されています。
●ExacTracシステムおよび6軸ロボティックカウチ
当院で導入した照射装置Trilogyには、ExacTracシステムおよび6軸ロボティックカウチを導入しています。
このシステムは、赤外線カメラとX線を既存の一般外照射用リニアックに取り付けることにより、従来の患者セッティングを自動的かつ高精度に実施できるものです。
先進的なIGRT(画像誘導放射線治療)による正確な患者ポジショニングはよりよい治療精度をもたらすとともに、セットアップ時間短縮と高スループットを実現します。
また、従来の放射線治療寝台は縦、横、高さ方向とカウチ回転の4軸でしか患者の位置補正を行うことができませんでした。 6軸ロボティックカウチでは従来の4軸に加え、患者さんの2方向の回転のずれを補正することも可能です。
2方向からのX線で内部構造を高精度に撮像することにより、体内の状態を今まで以上に詳しく知ることができ、ターゲットをより精密にポジショニングすることが可能です。
撮像した画像はワークステーションに転送され、治療計画上のDRR画像との位置ずれを自動補正します。
赤外線カメラはビデオカメラとともにリニアックルームの天井に固定され、患者の動きは、セットアップから治療中までリアルタイムに追尾できます。
このシステムにより以下のことが可能となっています。
・誤差1mm以内の患者ポジショニング
・2分以内で位置補正及び設定終了
・画像を用いた自動位置決め
・2方向からのX線画像がスキンシフトによるエラーを補正
・赤外線カメラによる患者位置追尾機能
ExacTracX線ディテクタと赤外線カメラ
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6軸ロボティックカウチ
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放射線治療計画用X線シミュレータ
Acuity(Varian)
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放射線治療計画用X線シミュレータは透視装置を用いて治療の場所や範囲を決定するシステムです。
当院では放射線治療計画用X線シミュレータとしてVarian社製 Acuityを導入しています。
放射線治療計画専用CT
Optima CT580 W(GE Healthcare)
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放射線治療計画用CTは、どのように放射線を照射するかの計画を立てるにあたって必須のシステムです。
CT画像上で病変部位と正常組織を確認しながら、患者さん一人一人に合わせて計画を行います。これにより、正常組織を避けつつ腫瘍に集中して放射線を照射できるような計画を立てることが可能です。
当院のシステムでは、呼吸などによる腫瘍の動きを仮想的に再現できる4次元 CTの撮影が可能です。
このシステムにより、呼吸による動きのある腫瘍においても、この動きを把握した、適切な治療計画が可能です。
2022年度放射線治療実績
2022年度放射線治療実績は以下のようになっています。
名称 | 件数 |
放射線治療患者実人数(新患+再診) | 376人 |
強度変調放射線治療(IMRT) | 262件 |
定位放射線治療(脳+体幹部) | 60件 |
2022年度の照射部位別件数は以下のようになっています。