● 便潜血(免疫法)
便潜血(免疫法) | 一般検査 |
基準値(正常値) | 陰性(-) |
解説
この検査は食事制限もなく、自分で採便容器に便を少しとるだけです。大腸腫瘍などがあると便に血が混じりますが少量で目ではわかりません。それを見つけるのがこの検査です。
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陽性 | 痔、大腸炎、潰瘍、大腸ポリープ、大腸癌、直腸癌など |
● 尿定性
尿定性 | 一般検査 |
解説
尿は腎臓で作られ、その成分は身体の代謝によって生まれた老廃物です。糖尿病、腎疾患、感染症、栄養障害などの疾患では本来尿の中には出てこない物質がでてきます。
当院では試験紙を用いて、pH、比重、蛋白、糖、潜血、ビリルビン、ケトン体、ウロビリノーゲン、亜硝酸塩、白血球反応の検査をしています。 |
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PH | 健康な人の尿はふつうpH5(酸性)~pH8(アルカリ性)の間で変化しますが、食物や病気でも変わります。 |
比重 | 尿中成分の濃度によって変化します。尿崩症のように大量に尿がでると尿中成分の濃度は低くなり低比重尿となります。糖尿病では尿中に糖が出て高比重尿となります。 |
蛋白 | タンパクは通常、ほとんど尿には排泄されません。しかし、健康な人でも一時的な生理的タンパク尿が見られることもあります。 糸球体腎炎、腎不全、ネフローゼ症候群など腎障害があると尿中に継続して出現します。 |
糖 | 一般的には血糖値が160~180mg/dL(腎閾値)以上になると、尿糖が出るといわれています。糖尿病のように腎閾値を超える高血糖では尿糖陽性となります。 |
潜血 | 糸球体腎炎、尿路結石、尿路感染症、膀胱腫瘍など、腎臓および尿路からの出血があると陽性となります。 |
ビリルビン | 急性肝炎、肝硬変、肝内胆汁うっ滞など肝胆道系の障害や溶血性貧血で陽性となります。 |
ケトン体 | ケトン体は脂肪の燃えカス(代謝産物)で、糖尿病のように血液中のグルコースが体のエネルギーとしてうまく使われず、代わりに脂肪がエネルギー源として燃やされた時に陽性となります。飢餓状態でも陽性となります。 |
ウロビリノーゲン | ビリルビンと同様に肝胆道系の疾患で増加します。便秘、激しい運動、疲労、不眠などの原因により陽性になる場合があります。 |
亜硝酸塩 | 亜硝酸塩陽性は細菌感染を示唆します。 |
白血球反応 | 膀胱炎・尿道炎など細菌等の感染によって白血球反応が陽性となります。 |
● 尿沈査
尿沈渣 | 一般検査 |
解説
尿の成分を詳しく調べる検査で、尿を遠心分離させ、沈んだ成分(沈渣)を顕微鏡で観察します。
主に血球成分である赤血球、白血球や、上皮成分、細菌などを観察します。例えば、膀胱炎などの尿路感染症では、多量の細菌や白血球を認め、尿路系の腫瘍では、異常な上皮細胞が多数見られます。
また、結晶成分発見により、先天的な疾患や尿路結石などの診断に直結する場合もあります。 |
● TP(総蛋白)
TP(総蛋白) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 6.7~8.3g/dL |
解説
血液中には多くの種類のタンパク質が含まれていますが、大部分はアルブミンとγ-グロブリンが占めています。TP(総蛋白)は、このアルブミンとγ-グロブリンの増減を反映しています。
TPを測定することで、栄養状態や肝臓の機能(アルブミンなどのタンパク質の合成)などがわかります。
その他にも腎臓の障害(本来漏れ出てきてはならないタンパクが尿中に出てくる。)や、γ-グロブリンを産生する多発性骨髄腫などの病気が推定ができます。
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低くなる疾患 | 栄養障害、吸収不良症候群、重症肝障害、肝硬変、蛋白漏出性胃腸症、熱症、ネフローゼ症候群など |
高くなる疾患 | 脱水症、慢性肝炎、慢性炎症性疾患、悪性腫瘍、多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症など |
ALB(アルブミン) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 3.9~4.9g/dL |
解説
アルブミンは肝臓でつくられるタンパク質の一種です。主な働きはさまざまな物質と結合して全身に運搬したり、浸透圧の維持をしています。
アルブミンが減少する原因には、肝臓での産生低下(肝障害など)、栄養不良、体外(尿、胃腸)への漏出などがあります。 |
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低くなる疾患 | 栄養障害、吸収不良症候群、重症肝障害、肝硬変、蛋白漏出性胃腸症、火傷、ネフローゼ症候群など |
高くなる疾患 | 脱水症 |
BUN(血中尿素窒素) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 8~20mg/dL |
解説
BUNは食事から取ったタンパク質や、体でいらなくなったタンパク質が分解されてできた血液中の尿素窒素(老廃物)で、腎臓から尿へと排泄されます。
BUNの上昇は主に腎障害による尿への排泄障害があげられますが、消化管出血などでも上昇してきます。 |
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低くなる疾患 | 低蛋白食、腎透析直後など |
高くなる疾患 | 脱水症、心不全、消化管出血、腎不全、高蛋白食など |
クレアチニン(CRE) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 男性 0.6~1.1mg/dL、女性 0.4~0.8mg/dL |
解説
クレアチニンは筋肉の中にあるクレアチンの代謝産物で、BUNと同様に腎臓から尿へと排泄されます。
クレアチニンの上昇は主に腎障害による尿への排泄障害があげられますが、多量に肉を食べた時や筋肉量の増加(スポーツ選手に多い)でも軽度上昇がみられます。
またクレアチニンの低下は、筋肉量の低下(寝たきり、筋ジストロフィーなど)や尿崩症などでもみられます。 |
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低くなる疾患 | 尿崩症、筋ジストロフィー、多発性筋炎、筋萎縮性側索硬化症など |
高くなる疾患 | 脱水症、ショック、心不全、糸球体腎炎、腎不全など |
● UA(尿酸)
UA(尿酸) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 男性 4.0~7.0mg/dL、女性 3.0~5.5mg/dL |
解説
UAは核酸いわゆるDNAやRNAなどの代謝産物で、最終的には腎臓から排泄されます。大量の肉を摂取し、肉の中に含まれていた細胞の核が代謝されて血液中に核酸が増えるとその代謝産物であるUAも増加します。
血液の中で過剰となったUAが尿酸結晶となって手や足などの関節に蓄積するのがいわゆる痛風と呼ばれる病気です。
白血病では腫瘍細胞がどんどん壊れて、腫瘍細胞中の核が代謝されてUAが上昇してきます。 |
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低くなる疾患 | キサンチンオキシダーゼ欠損症、プリンヌクレオチドホスホリラーゼ欠損症、腎性低尿酸血症など |
高くなる疾患 | 痛風、無症候性腎性高尿酸血症、白血病、悪性リンパ腫など |
ALP(アルカリフォスファターゼ) IFCC法 |
生化学検査 |
基準値(正常値) | 38~113 IU/L |
解説
ALPは肝臓、胆管、骨、胎盤、小腸などに分布している酵素です。またγ-GTP、LAPと共に肝胆道系酵素とよばれ、肝胆道系の閉塞や疾患などで上昇します。
また、電気泳動法と呼ばれる検査をすると、肝臓、胆管、骨、胎盤、小腸など、どの組織由来かがわかります。健康体の場合でも小児の成長期や血液型B型・O型の分泌型では上昇がみられます。 |
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低くなる疾患 | 遺伝性低ALP血症など |
高くなる疾患 | 骨疾患(骨折など)、閉塞性黄疸(胆管癌など)、肝内胆汁うっ滞、アルコール性肝障害、急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、肝硬変、転移性肝癌、肝細胞癌など |
● AST(GOT)
AST(GOT) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 8~38 IU/L |
解説
ASTはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略。主に肝臓、筋肉、赤血球のなかに存在する酵素で、タンパク質を構成しているアミノ酸の代謝に関わっています。
ASTの上昇は肝臓の細胞、筋肉、赤血球などの破壊の程度を反映します。アルコールを飲みすぎると、肝臓の細胞が破壊されASTが上昇してきます(アルコール性肝炎)。
その他にもウイルスや薬が原因の肝炎でも上昇してきます。 |
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低くなる疾患 | |
高くなる疾患 | アルコール性肝炎、ウイルス性肝炎(HBV、HCVなど)、薬剤性肝障害、閉塞性黄疸、脂肪肝、肝硬変、肝細胞癌、心筋梗塞、筋肉疾患、溶血性疾患など |
● ALT(GPT)
ALT(GPT) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 4~44 IU/L |
解説
ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼの略。主として肝細胞の中に存在する酵素で、タンパク質を構成しているアミノ酸の代謝に関与しています。
ASTと同様、肝細胞が壊されると上昇しますが、ASTは肝疾患以外の疾患(たとえば心筋梗塞など)でも上昇してくるのにくらべて、ALTは肝疾患に特異性が高いといわれています。 |
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低くなる疾患 | |
高くなる疾患 | アルコール性肝障害、肝内胆汁うっ滞、薬剤性肝障害、閉塞性黄疸、慢性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝細胞癌など |
LD(乳酸脱水素酵素) IFCC法 |
生化学検査 |
基準値(正常値) | 124~222 IU/L |
解説
LDは体内の大部分(とくに心臓、腎臓、肝臓、赤血球、筋肉、腫瘍細胞)に存在する酵素で、それらの組織の細胞が壊されると上昇してきます。
またLDの組織由来は、電気泳動法とよばれる検査で、ある程度特定することができます。 |
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低くなる疾患 | |
高くなる疾患 | 心筋梗塞、心不全、肝硬変、慢性肝炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍、悪性リンパ腫、白血病、進行性筋ジストロフィーなど |
LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 30~70 IU/L |
解説
LAPは肝臓、腎臓、小腸、膵臓などに分布している酵素です。またγ-GTP、ALPと共に肝胆道系酵素とよばれ、肝胆道系の閉塞や疾患などで上昇します。
その他ウイルス感染症、白血病、悪性リンパ腫でも上昇します。 |
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低くなる疾患 | |
高くなる疾患 | 閉塞性黄疸(胆管癌など)、肝内胆汁うっ滞、胆石症、胆嚢炎、アルコール性肝障害、急性肝炎、慢性肝炎、転移性肝癌、肝細胞癌など |
T-bil(総ビリルビン) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 0.2~1.2mg/dL |
解説
総ビリルビンは直接ビリルビンと間接ビリルビン両方を測定したものです。ビリルビンは赤血球の代謝産物で、赤血球が壊れるとその中のヘム蛋白が処理されて間接ビリルビンとなり、肝臓へ運ばれます。
さらに肝臓で直接ビリルビンとなり胆汁の中へ排泄されます。したがって溶血性疾患では間接ビリルビンが増加し、肝胆道系疾患(肝細胞障害、肝内胆汁うっ滞、胆道閉塞)では直接ビリルビンが増加します。
また黄疸はビリルビンの色のためです。 |
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低くなる疾患 | |
高くなる疾患 | 間接ビリルビン上昇(溶血性黄疸、新生児黄疸、Crigler-Najjar症候群)直接ビリルビン上昇(閉塞性黄疸、肝炎、肝硬変、肝癌、Dubin-Johnson症候群など) |
ChE(コリンエステラーゼ) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 229~521 IU/L |
解説
ChEは肝臓でつくられる酵素の一種です。ChEの上昇は、高栄養状態や肝機能亢進(蛋白合成、脂質代謝の亢進)を意味します。
産生を亢進させる原因としては脂肪肝や、糖尿病、ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症があげられます。
一方、ChE低下には肝機能を低下させる疾患(たとえば肝硬変、劇症肝炎、肝細胞癌)や、低栄養、感染症、有機リン中毒などがあります。
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低くなる疾患 | 栄養障害、重症肝障害、肝硬変、劇症肝炎、肝細胞癌、悪性腫瘍、重症感染症など |
高くなる疾患 | 脂肪肝、糖尿病、ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症 |
● γ- GTP(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ) × 閉じる
γ-GTP(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 男性 24~80 IU/L、女性 13~51 IU/L |
解説
γ-GTPは肝臓の中から胆管上皮にかけて存在する酵素で、アルコールや一部の薬物などで上昇してきます。肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸、肝細胞癌などでは、ALP、LAPなど他の肝胆道系酵素と共に上昇します。
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低くなる疾患 | |
高くなる疾患 | アルコール性肝障害、肝内胆汁うっ滞、薬剤性肝障害、閉塞性黄疸、慢性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝細胞癌など |
AMY(アミラーゼ) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 血清 41~112 IU/L、尿 89~916 IU/L |
解説
AMYは、主として唾液腺と膵臓に由来します。AMY上昇の原因には、唾液腺や膵臓の炎症、腫瘍や結石による閉塞、腎臓からの排泄障害、悪性腫瘍による産生などがあげられます。
一方低下の原因は、膵臓や唾液腺の摘出や慢性膵炎、膵臓癌による膵実質の荒廃によっておこります。 |
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低くなる疾患 | 膵・唾液腺全摘後、慢性膵炎、膵臓癌による膵実質の荒廃 |
高くなる疾患 | 急性膵炎、慢性膵炎、急性耳下腺炎、アミラーゼ産生腫瘍(肺癌、卵巣癌、卵管癌など)、マクロアミラーゼ血症、総胆管結石、慢性腎不全 |
T-Cho(総コレステロール) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 129~246mg/dL |
解説
T-Choは、肝臓で合成、異化(分解されて別の物質に変わること)され、体の重要な物質の原料として用いられます。
たとえば細胞の形を維持する細胞膜や腸から脂肪の吸収を助ける胆汁酸、また一部のホルモンやビタミンDなどの原料として利用されます。
しかし過剰のコレステロールは、血管壁にたまって血管内が細くなるいわゆる動脈硬化を引き起こします。 |
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低くなる疾患 | 栄養障害、肝硬変、劇症肝炎、甲状腺機能亢進症、無β-リポ蛋白血症 |
高くなる疾患 | 閉塞性黄疸、肝細胞癌、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、家族性欠損アポ蛋白B血症、家族性高コレステロール血症 |
TG(トリグリセリド=中性脂肪) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 45~149mg/dL |
解説
高TG血症は動脈硬化の危険因子であるとともに、急性膵炎の原因となることもあります。肥満、アルコールの多飲、高カロリー食で上昇します。 |
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低くなる疾患 | アポ蛋白A-1欠損症、糖尿病、高脂血症、肝硬変、慢性腎不全 |
高くなる疾患 | LCAT欠損症、糖尿病、アポ蛋白E欠損症、家族性3型・4型高脂血症 |
HDL-Cho(HDLコレステロール) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 男性 37~75mg/dL、女性 42~98mg/dL |
解説
HDLは、血管にたまったコレステロールを掃除する働きがあるので善玉コレステロ-ルとも呼ばれています。運動することでHDLが増えると言われています。 |
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低くなる疾患 | アポ蛋白A-1欠損症、糖尿病、高脂血症、肝硬変、慢性腎不全 |
高くなる疾患 | CETP欠損症、肝性リパーゼ欠損症、原発性胆汁性肝硬変 |
LDL-Cho(LDLコレステロール) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 78~148mg/dL |
解説
LDLは、動脈硬化の直接危険因子で悪玉コレステロールと呼ばれています。このLDLが血管壁にたまって動脈硬化を引き起こします。 |
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低くなる疾患 | 栄養障害、甲状腺機能亢進症、無β-リポ蛋白血症、肝硬変、劇症肝炎など |
高くなる疾患 | 家族性高コレステロール血症、家族性欠損アポ蛋白B血症、家族性3型高脂血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、Cushing症候群、閉塞性黄疸など |
FBS(空腹時血糖) | 生化学検査 |
基準値(正常値) | 56~109mg/dL |
解説
FBSは最低8時間以上、水以外の飲食物を禁じて得られた血中グルコース(ブドウ糖)濃度です。血中グルコースの値は食事によって大きく変化します。
そこで本来の血糖値を調べるために空腹の状態の血糖値を測定します。糖尿病ではFBSが126mg/dl以上と定義されています。 |
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低くなる疾患 | 下垂体機能低下症、副甲状腺機能低下症、甲状腺機能低下症、 膵β-細胞腫、絶食や運動後、インスリン・経口血糖降下薬服用後 |
高くなる疾患 | 糖尿病、甲状腺機能亢進症、グルカゴノーマ、褐色細胞腫、膵炎、胃切除後、食後 |
○ HbA1C
○ 75gブドウ糖負荷試験(空腹時、60分、120分)
赤血球(RBC)数 | 血液検査 |
基準値(正常値) | 男性 4.3~5.4×106/μL、女性 3.7~5.0×106/μL |
解説
赤血球は、酸素を全身に運ぶ重要な働きがあります。赤血球数を測ることで、貧血や多血症(赤血球数が多くなる病気)などがわかります。
ただし、貧血にはいろいろなタイプがあって、それを調べるには血色素量(ヘモグロビン:Hb)、ヘマトクリット(Ht)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球血色素量(MCH)、平均赤血球血色素濃度(MCHC)、網状赤血球数(Ret)などを組み合わせて判断します。 |
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少くなる疾患 | 貧血は(ヘモグロビン成人男子13.0g/dL未満 女子12.0g/dL未満)大きく分けて3タイプ 大球性正色素性貧血(MCV:101fL以上)-悪性貧血(ビタミンB12欠乏)、葉酸欠乏性貧血、肝障害など 正球性正色素性貧血(MCV:81~100fL)-溶血性貧血、再生不良性貧血、急性出血、白血病、腎性貧血、感染症、悪性腫瘍など 小球性低色素性貧血(MCV:80fL以下)-鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血、サラセミア症候群など |
多くなる疾患 | 真性多血症、二次性多血症、脱水 |
白血球(WBC)数 | 血液検査 |
基準値(正常値) | 3.8~9.0×103/μL |
解説
白血球は、体外から進入した異物(細菌、ウイルスなど)から体を守る働きがあります。白血球にはさらに顆粒球系(好中球、好酸球、好塩基球)、リンパ球系(T細胞、B細胞)、単球系に大別されます。各細胞の主な役割は好中球、単球は体内に進入した細菌を食べて溶してしまいます。細菌感染があると、好中球などが動員されて白血球数が上昇します。リンパ球の一部はおもに抗原(異物)に対する抗体を作って、単球系の細胞が攻撃しやすいようにします(体液性免疫)。リンパ球数はとくにウイルス感染症や慢性炎症で増えてきます。また白血病でも白血球数が増加します。
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少くなる疾患 | 再生不良性貧血、悪性貧血、骨髄異形成症候群、骨髄繊維症、脾機能亢進症、放射線照射など |
多くなる疾患 | 感染症(細菌、ウイルス)、白血病、自己免疫性疾患(リウマチ熱、膠原病など)、妊娠、ストレスなど |
血小板(PLT)数 | 血液検査 |
基準値(正常値) | 150~400×103/μL |
解説
血小板の重要な役割として出血を止める働き(止血作用)があります。止血の機構は、まず出血したところに血小板が集まり、血小板同士が手をつなぎあって白色血栓を作ります。そこへフィブリノーゲンといった凝固因子が働いてフィブリンとなり赤血球なども巻き込んで赤色血栓(いわゆるカサブタ)を作ります。
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少くなる疾患 | 白血病、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、脾機能亢進など |
多くなる疾患 | 慢性骨髄性白血病、本態性血小板血症など |
プロトロンビン時間(PT) | 血液検査 |
基準値(正常値) | 9.8~14.5秒 70~130% PT-INR 0.88~1.12 |
解説
外因系凝固機能を見る検査です。ワルファリンなどの経口抗凝固治療法のモニタリングとして検査を行う場合があります。 |
● 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) × 閉じる
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) | 血液検査 |
基準値(正常値) | 24~39秒 |
解説
内因系凝固機能を見る検査です。先天性血友病、後天性血友病などで延長します。ヘパリン投与時のモニタリングとして検査を行う場合があります。 |
● フィブリノゲン
フィブリノゲン | 血液検査 |
基準値(正常値) | 160~400mg/dL |
解説
凝固反応過程の最終段階でフィブリノゲンがトロンビンの作用により強固なフィブリンに変化し、止血反応が完了します。体内において血栓形成などで消費されると減少します。肝機能障害により産生不良になり減少します。感染症や炎症性疾患などで増加します。 |
○ 赤血球沈降速度
感染症検査
● HIV
HIV | 血清検査 |
基準値(正常値) | 陰性(-) |
解説
ヒト免疫不全ウイルス(エイズウイルス)の感染を検査します。 |
HTLV-1(ATL) | 血清検査 |
基準値(正常値) | 陰性(-) |
解説
ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型の感染を検査します。 |
● HBs抗原
HBs抗原 | 血清検査 |
基準値(正常値) | 陰性(-) |
解説
HBs抗原陽性はB型肝炎ウイルスの感染を意味します。HBVマーカーの意義 HBs抗原:現在HBVに感染していることを示します HBs抗体:過去のHBV感染既往、ワクチン接種 HBc抗体:高抗体価(HBV感染状態)低抗体価(過去のHBV感染) HBe抗原:HBV活動、増殖状態(感染力が最も強い) |
● HCV抗体
HCV抗体 | 血清検査 |
基準値(正常値) | 陰性(-) |
解説
HCV抗体陽性はC型肝炎ウイルスの感染既往を意味します。現在の感染の有無はHCV-RNAの測定が必要です |
RPR TPLA |
血清検査 |
基準値(正常値) | RPR 陰性(-) TPLA 陰性(-) |
解説
梅毒の感染を検査します。RPRは梅毒以外の原因により陽性になる場合があります。(生物学的偽陽性) |
● ASO
ASO | 血清検査 |
基準値(正常値) | 成人 160 IU/mL以下 小児科 250 IU/L以下 |
解説
溶血性連鎖球菌の感染を検査します。 |
● PCT
PCT | 血清検査 |
基準値(正常値) | 0.5ng/mL以下 |
解説
敗血症(細菌性)の鑑別診断及び重症度判定使われます。 |
● エンドトキシン
エンドトキシン | 血清検査 |
基準値(正常値) | 1.0pg/mL |
解説
グラム陰性菌感染症の診断及び治療効果の判定に使われます。 |
● β-Dグルカン
β-Dグルカン | 血清検査 |
基準値(正常値) | 11.0pg/mL以下 |
解説
深在性真菌症の診断及び治療効果の判定に使われます。 |
腫瘍マーカー
● CEA
CEA | 血清検査 |
基準値(正常値) | 5.0ng/mL以下 |
解説
癌(特に消化器)の存在確認と治療効果の判定に使われます。 |
● AFP
AFP | 血清検査 |
基準値(正常値) | 10.0ng/mL以下 |
解説
主に肝臓癌の存在確認と治療効果の判定に使われます。 |
● PIVKA-Ⅱ
PIVKA-Ⅱ | 血清検査 |
基準値(正常値) | 40AU/mL未満 |
解説
肝臓癌の存在確認と治療効果の判定に使われます。 |
● CA19-9
CA19-9 | 血清検査 |
基準値(正常値) | 37U/mL以下 |
解説
膵臓癌に特異性の高い腫瘍マーカーです。 |
● CA125
CA125 | 血清検査 |
基準値(正常値) | 35.0U/mL以下 |
解説
卵巣癌、子宮癌に特異性の高い腫瘍マーカーです。 |
● CA15-3
CA15-3 | 血清検査 |
基準値(正常値) | 21.6U/mL以下 |
解説
乳癌に特異性の高い腫瘍マーカーです。 |
● PSA
PSA | 血清検査 |
基準値(正常値) | 4.0ng/mL以下 |
解説
前立腺癌に特異性の高い腫瘍マーカーです。 |
● NSE
NSE | 血清検査 |
基準値(正常値) | 11.0ng/mL以下 |
解説
小細胞癌に特異性の高い腫瘍マーカーです。 |
● Pro-GRP
Pro-GRP | 血清検査 |
基準値(正常値) | 31.0pg/mL以下 |
解説
肺癌に特異性の高い腫瘍マーカーです。 |
心筋マーカー
NT-proBNP | 血清検査 |
基準値(正常値) | 125.0pg/mL以下 |
解説
心不全の重症度に応じて濃度が上昇します。 |
TnT トロポニンT |
血清検査 |
基準値(正常値) | 0.02ng/mL |
解説
心筋梗塞初期より濃度が上昇します。心筋に特異度が高い。 |
CK-MB mass |
血清検査 |
基準値(正常値) | 0~5ng/mL |
解説
心筋梗塞のマーカーです。 |
甲状腺ホルモン
● FT3
FT3 | 血清検査 |
基準値(正常値) | 2.39~3.86pg/mL |
解説
甲状腺の評価を行います。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、甲状腺機能低下症(橋本病)の診断、経過観察、治療効果判定に有用です。 |
● FT4
FT4 | 血清検査 |
基準値(正常値) | 0.83~1.77ng/mL |
解説
甲状腺の評価を行います。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、甲状腺機能低下症(橋本病)の診断、経過観察、治療効果判定に有用です。 |
● TSH
TSH (IFCC) |
血清検査 |
基準値(正常値) | 0.427~4.820μIU/mL |
解説
甲状腺の評価を行います。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、甲状腺機能低下症(橋本病)の診断、経過観察、治療効果判定に有用です。 |
● PTH-I
PTH-I | 血清検査 |
基準値(正常値) | 10~65pg/mL |
解説
副甲状腺から分泌され、カルシウム、及びリン酸代謝を調節するホルモンです。 |
● 活性レニン濃度
活性レニン濃度 | 血清検査 |
基準値(正常値) | 随時3.2~36.3pg/mL 臥位2.5~21pg/mL |
解説
腎臓内の血液の量が低下した際に腎臓から分泌されるホルモンです。 |
アルドステロン濃度 | 血清検査 |
基準値(正常値) | 随時35.7~240.0pg/mL 臥位29.9~159.0pg/mL |
解説
副腎から分泌され、腎臓に作用してナトリウムの吸収を促し、血液量を増加させ、血圧を上昇させるホルモンです。高血圧の約90%は遺伝的背景と生活習慣が原因とされる本態性高血圧で残りの約10%は二次性高血圧で、腎性高血圧や原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫を代表する内分泌性高血圧がこれにあたります。レニンとアルドステロンを調べることで、高血圧の原因を推察することができます。
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