2017年8月25日にミャンマーのラカイン州で発生した武力衝突を発端に、隣国であるバングラデシュへ流入する避難民が急増し、現地では行き場を失い、空き地や道端に留まっている避難民が多く見られる状況でした。食料や安全な水、住居用ブルーシートなどの物資は不足し、居住環境も窮乏するうえ、下痢、発熱、呼吸器・皮膚疾患、一般外傷などの健康被害も報告される中、日本赤十字社は国際赤十字・赤新月社連盟の要請を受け、医療チームを派遣することを決定しました。
当院からは、医療チーム第2班に藤田看護師、追加派遣が決定した第3班に東看護師長の計2名を派遣しました。派遣期間は、第2班:2017年10月20日(金)~11月30日(木)の約6週間、第3班:2017年11月24日(金)~2018年1月11日(木)の約7週間です。
医療チーム第2班に派遣が決定した藤田看護師の成功と安全を記念して、2017年10月17日(火)に出発式を開催しました。式では、楠田院長から本救援事業の概要が説明された後、初めての国際救援活動に臨む藤田看護師より、病院の支援に対する感謝の言葉と避難民の方々の助けとなるよう頑張りたいとの意気込みが述べられました。谷副院長兼看護部長からは激励の言葉と、看護部からの花束と健康を祈念した伊勢神宮のお守りが贈呈されました。
医療チーム第3班への派遣が決定した東看護師長を応援すべく、2017年11月21日(火)に激励会を開催しました。会には、看護師をはじめ多くの職員が集まりました。楠田院長、谷副院長兼看護部長から激励の言葉が贈られ、看護部からは花束と伊勢神宮のお守りが手渡されました。今回で3度目の派遣となる東看護師長からは、支援する病院職員への感謝の言葉と救援活動への抱負が述べられました。
- 報告を行う東看護師長(右)と藤田看護師(左)
主な活動として、初動班から続く巡回診療の実施や医療不足地域の発掘と仮設診療所の開設を行いました。巡回診療では下痢や呼吸器疾患の患者が多く訪れるほか、裸足で生活する人も多いため、足に怪我を負う人や低栄養の子供なども多いと報告されました。東看護師長の参加する第3班の活動期間中には、ジフテリアという感染症が蔓延。約2週間で2千人を超える人が罹患し、沈静化に向けた活動も行われました。
現地の住環境としては、水やトイレなど少しずつ整備されてはいるが、全てにおいて十分ではなく、今後も継続的な支援が必要と報告されました。
日本赤十字社では、バングラデシュ南部避難民への救援金を募集しております。詳細は日本赤十字社ホームページにて公開しております。皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。
- バングラデシュの避難民キャンプの一部
- 現地にて医師とともに診療を行う藤田看護師
- 第2班が開設した仮設診療所
- 第3班は日赤医療チーム過去最大の総計97名
現地の避難民とともに活動する - 仮設診療所内の手術室にて手術を行う医師と東看護師長
- ジフテリアの感染拡大を防ぐため、患者の家へ訪問し、家族への指導などを行う