放射線科部

 
 本年5月から6月にかけて、当院に設置されている]線CT装置2台が相次いで新型の機種に更新されました。

 これまでの装置は2台とも、設置当時としては最新のいわゆるヘリカルCTであり、診断・治療に欠かせない非常に有用な情報を提供してくれる大変頼もしい装置でした。

 が、いずれも設置後10年前後が経過しました。

 この間の機器の進歩には目を見張るものがあり、性能の劣化にもまして時代遅れの印象が否めなくなってまいりました。

 
 今回導入されたCTは、同じヘリカルCTといっても全く新しいタイプのもので、マルチスライスCTと呼ばれる装置です。

 従来の装置が1回転で1断面しか撮影できなかったものが、8断面あるいは64断面という多くの断面を撮影することができます。

 具体的には躯幹部(胸部から骨盤部)の全範囲を1回の数秒の息止め時間で撮影することが可能となりました。

 まさに、あっという間に撮影が終わるので、これまでのCT装置で何度か検査を受けられた経験のある患者さんには、その速さに大変驚かれる事もしばしばです。

 また、非常に細かい(厚さの薄い)断面像がより速く得られるので、動きのある部分の撮影にも応用が可能となり、これまではCT検査の対象ではなかった心臓の冠動脈の検査にも利用できるようになりました。

 以前から可能であった3D−CT血管撮影も、より広範囲に簡便に行うことができるようになりました。

 更に、検査の高速化は1検査の所用時間の短縮にもつながって、より効率的な検査が行えるようになりました。

 検査を受けていただくにあたっての、患者のみなさまの予約待ち時間の短縮にも大きく貢献してくれるものと期待しています。

消化器科部長  佐藤 兵衛

 
 本年4月より、当院内視鏡室に新しい内視鏡機器が導入され、ほとんどの内視鏡検査がハイビジョン画質で観察できるようになりました。

 画質の鮮明化により、今まで以上に詳細な観察が可能となり、診断能が向上し疾患の早期発見、緻密な内視鏡治療を行えることが期待されます。

 また、内視鏡検査時の咽頭の不快感を軽減する経鼻内視鏡も導入されました。

 鼻の麻酔の前処置が必要ですが、内視鏡の太さが5mm前後と非常に細くなり、咽頭反射の強い方には楽に検査を受けていただけるようになりました。

 消化管の癌は、早期に発見できれば治癒することが十分期待できます。早期発見のためにも、症状があれば早めに検査を受けられることをお勧めします。


 
 当院は平成14年に地域がん診療拠点病院の指定を受けています。

 これは、質の高いがん治療を提供するだけでなく緩和ケアを充実させることも求められているということです。

 緩和ケアはWHOの定義にもありますように、ターミナルケアとは異なり、診断と同時に、治療と並行してはじめられる必要のあるケアです。

 また患者さんだけでなく、そのご家族に対してできる限り普段通りの生活ができるように積極的に支援していくというケアです。

 痛みやその他の症状緩和は最も重要なケアですが、患者さん、ご家族が抱える問題は身体的なものばかりではありません。

 そこで今年5月から緩和ケア相談室を開設し、患者さんの「何か不安」、ご家族の「告知をどうしよう」「何をしたらいい?」など様々な悩みや不安に対し、共に考え、支援していきたいと考えています。
             
 「まだ、緩和ケアを受ける時期ではない」と医療者が判断せず早い時期から支援することが、がん治療の負担を少しでも軽くすることにつながると考えています。

 外来通院中の患者さん、あるいはご家族の方だけでも御相談に応じます。
時間 毎週金曜日 9時〜16時
場所 緩和ケア相談室(1F 作業療法室の隣)
担当 井戸本(ホスピスケア認定看護師)