平成19年 年頭ごあいさつ

病院長 村 林 紘 二

 

 平成19年の年頭にあたり謹んでご挨拶申し上げます。さて新聞等の報道により既にご承知のことと存じますが、勤務医不足は急速に進み、当院も残念ながら神経内科医の確保が出来ないため休診することになりました。

 皆様には多大なご迷惑をお掛け致しますが、医師の確保が達成されるまでご容赦下さいます様お願い申し上げます。
 
 現在まで日本の医療は、勤務医の過重労働により支えられてきましたが、この傾向はとどまるところを知らず進行した結果、医師は疲弊し開業をはじめ他の職場に離れていくため、勤務医不足を来たしています。

 過重労働の最たるものは当直勤務です。

 受診者の大病院志向が進んだ結果、夜間や休日に余り緊急性のない受診者(一次救急患者)が押しかけるため、救急外来はごった返しています。

 このため直ちに入院や手術が必要な本来の救急患者(二次及び三次救急患者)の診療にも、影響をおよぼしている程です。

 一次救急患者は先ず地域のかかりつけ医を受診して頂き、その結果入院や専門的な処置が必要と判断された時に当院を紹介して頂くのが本来の姿であり、厚労省や日本医師会もこれを推奨しています。

 通常の診療に於いてお願いしている病診連携のシステムを、夜間や休日にも同様にお願い申し上げます。

 勤務医がこれ以上減り続けますと、地域の安全な医療を保つことが出来なくなってしまいますので、よろしくご協力下さいますようお願い申し上げます。

 昨年10月に当院の移転計画を発表いたしました。平成23年に完成を目指して準備を進めています。

 当院は明治37年、伊勢市・古市に創立され、大正15年に現在地に移転して以来、約80年この地で発展させて頂きました。

 しかし老朽化が進みまた狭隘化も目立ち、更に三重県から耐震対策を指示されていることなどから、5年程前より改築の検討を始めました。

 現地は近鉄・宮町駅に近く利便性の点で申し分ないため、当初は現地での改築について種々の案を立てて詳細に検討して参りました。

 先ず旧学校を壊しその跡地に新棟を建て、その後次々に「壊しては建て、壊しては建て」という行程を繰り返していきますが、完成まで約9年かかる上、仮設の建物も必要となります。

 そのため工費が10〜20億円程度多く必要となり、その間駐車台数は約200台に縮小しなければいけなくなります。

 更に現在の規模の病院であっても現行の基準を満たすためには、延床面積を約1.5倍にしなければいけない関係上、13階建て以上にしなければいけなくなり日照権の問題が発生します。

 このような諸々の理由により現地での立て替えを諦め移転新築することと致しました。

 

「大淀海岸」    撮影 ・ 水崎 恒治 氏

 


 以上のような事情をご理解頂きご協力の程宜しくお願い申し上げます。 移転先は旧東洋紡工場跡地の北側約三分の一の部分であり、既に取得致しました。

 新病院は今後設計を行い平成21年に着工、23年には完成の予定です。現在地から約1km余り離れますがどうか宜しくお願い申し上げます。

 医療は非常に厳しい状況にあり明るい展望はありませんが、職員一同出来る限りのサービスを提供させて頂く所存ですので、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。