着任のご挨拶にかえて

 

 

山田赤十字老人保健施設 虹の苑

                                     たからだ    よしひろ

常勤嘱託医師  財田 至啓

 


 例年にない厳しい寒さの季節になりました。 

 私こと10年余りの大学病院勤務の後、内科医として27年間従事した山田赤十字病院を平成16年6月末に退職し、1年間鈴鹿のクリニックに開設と同時に勤務。 

 このたび山田赤十字虹の苑にご縁を得、平成17年8月21日着任、故郷に帰ったように穏やかな温かい心持ちで、幸いにもというべき日々を重ねています。

 一昨年の夏、長年勤務した職場を離れるに際して来し方を振り返った折、ふと行く末に思いを馳せ、この先も日々の時間と責務に穏やかに真摯に向き合い、ときどきに最善を尽くし出会いを楽しみ、生涯現役でありたいと願ったものでした。

 記憶を辿れば、徒然草に「道人は、遠く月日を惜しむべからず、ただ今の一念、空しくすぐることををしむべし」とありました。

 仏の道はおろか、格別に「道に志す」 こともない身ではありますが、此の日頃のうち続く天と大地の営みを眼前にし、今この時の大切さを再認識させられることです。

 ところで、虹の苑の開設と同じ平成12年4月に施行された介護保険はこの5年間で、「家庭内介護」から「社会的介護」へと日本社会の共通認識を確実に変えました。

 介護保険の大きなプラスの成果です。「高齢者が自立して尊厳のある生活を送れるように、介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らせるように、介護をする家族がやさしい気持ちを持ち続けられるように…」。

 介護保険のプラスの成果をより大きく引き出すために、制度で許される限られた条件の中で、たゆまず日々の職に努力を重ねている虹の苑の職員諸氏とともに、保険・医療・福祉の系統的なサービス、地域貢献の一端を担えることは、私にとって誠に幸甚なことと思っております。

 昨年10月に制度が見直されましたが、制度が、高齢者それぞれの「人生の実り」 の支えとして理想に近づくように願いながら、虹の苑に集うお一人おひとりとの新たな出会いを大切にしたいと思っています。

 とりとめのない所感をご挨拶に換えさせていただきます。皆様よろしくお願い申し上げます。        

病院薬剤師の業務

薬剤部長  吉田  宏   

 
 従来、病院薬剤師の業務は患者さんへの直接的なサービスとして外来患者さんの調剤関連業務が大部分でありました。

 今病院薬剤師に求められているのは、処方箋を対象とした今までの調剤中心の業務から脱却し、患者さんが各自で生活生命の質の向上を高めることができるように医薬品適正使用の推進・確保に責任を持つという広域な薬剤業務へと転換しています。

 院外処方箋発行に伴い、病院薬剤師業務は入院患者さんへの服薬指導などの薬剤管理指導などへと移行し、間接的な患者さんサービスとして製剤などの薬品情報管理の他、薬事・感染予防・治験事務などもあります。


 また医療事故予防の観点から、患者さん別の注射薬調剤、麻薬・毒薬などの管理、抗癌剤の調製、薬物血中濃度モニタリングなどの業務も含まれます。

 医療薬学の発展や医療技術の進歩に伴い、医薬品の種類・剤型が激増し、薬理活性の強い薬剤が開発されている中、病院薬剤師には入院患者さんへの薬剤管理指導と情報提供が必須となっています。

 このような後方支援的な業務は大変地味ですが、医薬品の適正使用を確保し薬物療法の向上を推進する上で、病院薬剤師が調剤業務から解放され時間を有効活用できるためにも院外処方箋発行にご協力をお願いいたします。

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